アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、コロナ抗原検査キットや痛くない血糖測定器を作っています。

晴耕雨読 妻  作成

アボット・ラボラトリーズ(ABT)という製薬会社は、世間一般にはあまり知られていないかもしれません。製薬会社で有名な会社と言えば、コロナワクチンを提供しているファイザー(PFE)、コロナの内服薬を提供しているメルク(MRK)、多角経営の
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、日本で言えば武田薬品(4502)などでしょうか。



新型コロナウイルス肺炎が蔓延して、世界中の製薬会社が多大な開発費を投入してワクチンや治療薬の開発を行っています。中には、コミナティ(ファイザーが販売しているワクチン)のように世界中で使用されることもあれば、開発段階で効果を証明出来なかったり、後から優秀な薬が登場して消えていった薬品もあります。そのため、開発費を回収できないこともあります。どこの業界も開発競争は大変ですよね。


アボット・ラボラトリーズ(ABT)の面白いところは、以前から薬品の他に検査キットの開発に重点を置いているところです。今回の新型コロナウイルス肺炎の蔓延に対しては、開発費を回収できるかわからない薬品の開発ではなく、診断のための迅速抗原キット「Panbio COVID-19 Antigenラピッドテスト」を作っています。2022年1−3月のオミクロン株による第6波では病院や診療所において多いに役に立っているのではないでしょうか。


皆様は、自己血糖測定器をご存知でしょうか?アボット・ラボラトリーズ(ABT)は、これまで血糖測定器の老舗メーカーでもあります。血糖を下げる注射製剤であるインスリンを使用する糖尿病患者さんは、毎日血糖を自分で測定する必要があります。小さな針で自身の指先を刺して、血液を抽出し血糖測定器に吸わせると血糖を測定できます。これを多い人は1日に4回行います。痛い思いをして1日に4回も指先から血液を回収するなんて、健康な方からすると想像できないですよね。アボット・ラボラトリーズ(ABT)が、2014年から市場に投入した血糖測定器の「FreeStyle リブレ」は上腕の外側に500円玉くらいのセンサーを貼り付けて、スマートフォンでいつでも自己血糖測定が出来るデバイスです。ちくっと指先を針で刺す必要がなくなりますので、非常に便利です。


2013年に新薬開発部門を別の製薬企業(アッヴィ;ABBV)としてスピンアウトしていますので、売上高やEPS(1株当たりの利益)は一過性に低下していますが、2017年以降は再び上昇傾向にあります。


アボット・ラボラトリーズは25年以上増配する配当貴族に該当します。2023年1月現在、利回りは1.8%ですが、以下のように配当は順調に増加しています。長期で保有しておくと、取得単価に対する配当利回りが大きく上昇することが期待できます。

2017年 1.06ドル

2018年 1.12ドル

2019年 1.28ドル

2020年 1.44ドル

2021年 1.80ドル

2022年 1.88ドル

2023年 2.04ドル(予想)



製薬会社アボット・ラボラトリーズ(ABT)の一味違った経営戦略は、投資家にとっても魅力的です。


(この記事は2023年1月8日に追記しています)



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