子育て世代は投資を始めよう~住宅ローンはどうするか


「35年ローン、変動金利で借りました」
「40歳で借りたから、返済するのに75歳までかかる…」



子供が生まれて住んでいる所が手狭になると、家やマンションを購入したくなりますよね。誰でも新しくて大きな住居にはあこがれます。

住居に関して、持ち家と賃貸のどちらがいいかの論争は永遠に続くかと思いますが、ここでは持ち家派が直面する住宅ローンについて考えたいと思います。

住宅ローンの特徴として、他のローンと比べて非常に低金利(約1%)です。しかし元々借りた額が大きいため長く借りていると返済総額はかなり増えてしまいます。そのため、従来は繰り上げ返済をすることで出来るだけ残高を減らして(利息がつかないようにして)、退職までに完済するのがよく行われている方法でした。また、金利の低いローンに借り換えることも一つの方法です。

ただ繰り上げ返済を行おうとすると、収入を増やすために時間外労働や副業を行うか、あるいは支出の見直し(削減)が必要となってきます。

時間外労働や副業をすることで、家族と過ごす時間が減りますし、支出の削減を行うと家族との貴重な経験(旅行、食事)も減ってしまいます。家族と豊かな時間を過ごすために購入したはずの家にも関わらず、その家のローンのために家族との生活が犠牲になるとすると本末転倒です。

では、どうすればいいでしょうか。

結論から言いますと、住宅ローン減税を利用しながら、投資を行うことです。
住宅ローン減税(2022年以降)とは、ローンを借りて住宅を購入した場合に、年末のローン残高に対して0.7%が所得税(住民税)から控除される制度で、13年間適応されます。つまり、住宅ローンの金利が1%前後であるため、13年間はほぼ利息がつかないことになり、繰上げ返済をするメリットが無くなります。

ここで「何に投資するか②何に投資するか③」で紹介していましたS&P500指数やCRSP米国総合指数に投資するとします。これらの指数は、過去30年間に渡って平均10%のリターン(利回り)で上昇しています。もちろん、ITバブルショック、リーマンショック、コロナショックなどあり、短期的には減少した年もありますが、長期的には年平均10%ずつ成長しています。繰上げ返済を考えていたお金の半分と住宅ローン減税で控除されたお金をこれらの指数に連動する商品に投資したとしてシュミレーションしてみます。


(例)40歳、3000万の住宅ローン(35年、金利 0.7%)、13年間の住宅ローン減税あり

まず返済総額は、事務手数料など含めて約3500万円となります。
月々の返済は約8万円となり、75歳まで続きます。
月々の返済を10万円とすると、退職の65歳時に返済できます。

ここで、この毎月の差額の2万円のうち1万円と住宅ローン減税分として毎年約20万の合計32万円をS&P500指数(VOOやeMAXIS Slim S&P500)に投資するとします。S&P500指数の利回りは低く見積もって8%とします。

1年目 投資金32万円    投資資産32万円
2年目 投資金64万円    投資資産66万5600円(32万円x1.08+32万円)
3年目 投資金96万円    投資資産103万8848円(66万5600円x1.08+32万円)
4年目 投資金128万円     投資資産144万1955円(103万8848円x1.08+32万円)
5年目 投資金160万円     投資資産187万7312円(144万1955円x1.08+32万円)
6年目 投資金192万円     投資資産234万7497円(187万7312円x1.08+32万円)
7年目 投資金224万円     投資資産285万5297円(234万7497円x1.08+32万円)
8年目 投資金256万円     投資資産340万3720円(285万5297円x1.08+32万円)
9年目 投資金288万円     投資資産399万6018円(340万3720円x1.08+32万円)
10年目  投資金320万円     投資資産463万5699円(399万6018円x1.08+32万円)
11年目  投資金352万円     投資資産532万6555円(463万5699円x1.08+32万円)
12年目  投資金384万円     投資資産607万2680円(532万6555円x1.08+32万円)
13年目  投資金416万円     投資資産687万8494円(607万2680円x1.08+32万円)

と、13年目の時点で250万以上の差がついています。14年目以降は住宅ローン減税がなくなり、毎年の投資金が12万に減るとして計算します。

14年目  投資金428万円     投資資産754万8774円(687万8494円x1.08+12万円)
15年目  投資金440万円     投資資産827万2676円(754万8774円x1.08+12万円)
16年目  投資金452万円     投資資産905万4490円(827万2676円x1.08+12万円)
16年目  投資金464万円     投資資産989万8849円(905万4490円x1.08+12万円)
17年目  投資金476万円     投資資産1081万757円(989万8849円x1.08+12万円)
18年目  投資金488万円     投資資産1179万5618円(1081万757円x1.08+12万円)
19年目  投資金500万円     投資資産1285万9267円(1179万5618円x1.08+12万円)
20年目  投資金512万円     投資資産1400万8009円(1285万9267円x1.08+12万円)
21年目  投資金524万円     投資資産1524万8650円(1400万8009円x1.08+12万円)
22年目  投資金536万円     投資資産1658万8542円(1524万8650円x1.08+12万円)
23年目  投資金548万円     投資資産1803万5625円(1658万8542円x1.08+12万円)
24年目  投資金560万円     投資資産1959万8475円(1803万5625円x1.08+12万円)
25年目  投資金572万円     投資資産2128万6353円(1959万8475円x1.08+12万円)

以上のように25年目(65歳時)には、投資金572万円に対して2128万円の資産が形成されています。65歳時の住宅ローン残高を計算してみますと、3500万円-毎月8万円x12ヶ月x25年=1100万円となります。なんと、ローンを返済しても1000万円以上のお釣りが返ってきます。一方で、現金での繰り上げ返済ですと572万円しかローンを追加で支払えていないことになりますので、ローンがまだ500万円ほど残ることになります。

このS&P500指数やCRSP米国総合指数の利回りとして8%を用いましたが、今後上がることも下がることもあり、保証されてはいません。あくまで過去の実績から言えることになります。また厳密には、お金を借りながら投資をすることになるので、性格的に合わない方もおられると思います。しかし、中立的な見方をすると、余っているお金で長期間の投資をしておくことは、周り回って家族との時間を作ることになるのではないでしょうか?


果たして、皆様のご判断はどのようになりますでしょうか?


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